SERVICES産業施設再生プロジェクト支援
産業施設再生プロジェクト支援
戦前および高度成長期に建築された施設は、増改築や所有者の交代を繰り返してきたことにより設計図書が保存されていない場合が多々あります。
また、事業者が所有する施設および資産を有効に活用する経営戦略を立案しても、既存建物の活用には建築基準法、構造計算基準および消防法等に適合させる必要があります。このように既存建物の利活用には、一般に考えるよりも難易度の高い制約や条件が伴います。このため、産業施設再生には通常の技術力のほか、
・事業者の構想を実現する計画能力
・設計図書を復元させるための調査能力
・関係する法規基準に適合させるために要する時間、労力、技術力
・施設を休止させることなく稼働させながら建設工事を行う工夫、調整力
などが求められます。
ツカサグループは、あらゆる建物の構造設計、ファシリティマネジメントを40年以上手掛けてきた技術者集団です。
そのノウハウを核として、既存建物を利活用する「産業施設再生」分野に進出し、事業者の意図する経営戦略の実現に貢献いたしております。
主なユーザーとしては、重工業、化学工業などの装置産業のほか宿泊業、テナント業などの築年数が40年以上経過した建物を所有する企業が対象となります。
<具体例>
1.Aテナントビル
- ・建物概要
- 本建物は、築後50年超の地下1階、地上10回、延べ床面積8,000平方メートル、鉄骨鉄筋コンクリート造りの自社も入居する貸事務所ビルで、昭和56年制定の新耐震計算基準以前の建物。
耐震診断を行った結果、耐震性が不足することが判明し、対応策として下記の4案について検討を行った。
- ・選択肢
- (1)建物を解体撤去後、同一敷地で新築する。
(2)建物を売却後、新敷地で新築する。
(3)建物を売却後、別のテナントビルに入居する。
(4)建物の耐震改修を行う。
- ・検討結果
- 建物を所有した場合と、売却した場合のメリット・デメリットを比較検討した結果、(4)案の耐震改修を採用した。
2.Bテナントビル
- ・建物概要
- 本建物は、築後60年超の地下1階、地上7階、延べ床面積6,000㎡、鉄骨鉄筋コンクリート造りの自社も入居する貸事務所ビルで、新耐震基準に準拠していないため解体予定となっていた。ただ、耐震改修を実施すればテナントとして長期間の入居希望があり、耐震改修の検討を行った。
- ・検討内容
- (1)耐震診断および補強設計を実施し、改修費用ならびに建物の維持費用を算定した。
(2)建物の使用方針および使用期間を想定し、建物の賃料との比較を行い、採算性の検討を行った。
- ・検討結果
- 解体撤去後の新築と、耐震改修のメリット・デメリットについて比較検討し耐震改修を採用した。
3.Cテナントビル
- ・建物概要
- 本建物は、昭和40年代前半建築の地下1階、地上5階、塔屋1階、延べ床面積2,000㎡の鉄筋コンクリート造りの自社も入居する貸店舗ビルで、新規入居希望者よりビル全体の耐震改修を求められ、検討を行った。
- ・検討内容
- (1)入居契約の終了した階から順次改修工事を行う場合、工事期間が長期となり店舗営業に支障が出ると同時に費用も嵩む。
(2)改修工事期間を短縮するため、入居者を空きスペースに移動し工事を実施する場合は、入居者の仮店舗の準備および営業補償等の交渉が必要となる。
- ・検討結果
- 上記について、予算および営業方法についてメリット・デメリットを比較検討の結果、(2)案を採用した。
4.D工場
- ・建物概要
- 本施設は、昭和30年代半ばに工業団地内で創業した金属加工の本社工場である。築60年となり建物の劣化が進むと共に増築を繰り返してきたことから、敷地内に空きスペースが無い状況の中で、本社工場の建て替え計画をした。
工場の解体と新築を繰り返す改修工事となるため、工程の検討を行った。
- ・検討内容
- (1)設計図書の一部が保存されていないため、敷地内の工場および設備配管等の調査を実施し設計図書の復元を行う。
(2)建蔽率に余裕を持たせる空きスペースを確保するため、倉庫・流通部門の建物を別の敷地で新築した後、既存工場の製造設備を移設する。新工場に移転した旧工場は解体撤去する。
- ・検討結果
- 第1期工事として、敷地内の空きスペースを活用して本社工場の中核となる棟の新築をし、以後、同様に工場の解体撤去と新築を2度繰り返し、第3期工事で本社工場の建築を完了した。
5.E工場
- ・建物概要
- 本施設は、築40年超のクリーンルームを所有し複数の工場棟と配管ラックで連結している中核工場である。
地震で損傷が発生すると操業停止となる可能性があるため、耐震改修の検討を行った。
- ・検討内容
- (1)本工場は営業上稼働を止められなく、また、新工場の建設には敷地の建蔽率に余裕がないため既存工場を解体撤去してスペースを空ける必要がある。
(2)工場の稼働を継続して耐震改修工事を行うには、クリーンルームへの影響を考慮しつつ、外壁に取り付く設備配管の切り回し等の課題を解決する必要である。
- ・検討結果
- 事業費用の採算および施設の維持費用を比較検討した結果、(2)案を採用した。
6.F工場
- ・建物概要
- 本工場は30年前に建設したが、大震災による杭の破損が原因で不同沈下が発生し補強対策の検討が必要になった。
- ・検討内容
- (1)杭・梁部材の損傷度、杭の水平変形量、基礎の沈下量および地盤の支持力の調査を実施。
(2)常時と将来の地震に対して、応用解析による耐震診断のIs値を求め、気象庁震度階と対比し現状把握と今後の地震に対する予測を行った。
(3)工場稼働を維持するため、建物の外周面および外部架構に配置した補強部材により、必要な耐力を確保した。
(4)新設基礎の杭に地震時反力を全て負担させる方法によって、既存基礎は長期支持力のみ確保した。
- ・検討結果
- (1)~(4)の検討結果について、補強対策の承諾を得た。