SERVICES地震対策
地震対策
東日本大震災では日常の生活や経済活動が一瞬にしてストップし、地震対策の遅れが露呈しました。大地震からの復旧には莫大な費用と時間を要し、企業の存続や生活の再建が危ぶまれます。日本各地に地震の危機が迫っていると言われており、2013年の改正耐震改修促進法の施行により、耐震診断の義務化や耐震診断結果の公表など、厳しい対応が求められるようになりました。人命の安全確保と建物の付加価値向上のため、耐震診断と耐震改修を併せて検討いただくことをお勧めします。
耐震診断が必要な建物
●旧耐震基準の建物
・確認申請受付日付が昭和56年5月31日以前の建物
●バランスの悪い建物・大型の建物
・1階がピロティの建物、大きな吹き抜けがある建物
・3階建て以上で延床面積が1,000平方メートル以上の建物
●不特定多数の人が利用する建物
・病院や診療所など医療施設・老人ホームなど福祉施設
・百貨店やスーパーマーケット、劇場など商業施設
耐震診断・改修のフロー
・設計図の確認や現地調査、その他各種
データー分析を含めて、地震のリスク・影響を分析し、改修計画の策定から補助金申請の支援、運用コストの想定、震災時の復旧費用に至るまで、総合的な危機 管理コンサルティングを行います。
・区分所有マンションについては、震災による損傷が構造躯体に及ぶことも想定して耐震補強と併せて地震保険による予防対策も重要です。
建物所有者
建物所有者は設計図を用意して、専門家と相談する。
診断の専門家
専門家は現地で予備調査を行う。
予備調査
予備調査での診断レベルを判断し、材料試験棟を含め、必要な費用を見積もる。
一次診断
一時診断は設計図面などによる簡易診断を行う。
二次診断
二次診断は対象とする建物の、現在の耐震性の診断を行う。
精密診断
精密診断は建物ごとに調査内容を決め、診断を行う。
耐震診断の結果
耐震性に問題があれば、弱い部分の補強計画を立てる。
耐震補強計画
耐震補強計画をもとに、補強工事を行う。
耐震補強
◆製造工場(茨城県)
◆大学(東京都)
◆社員寮(埼玉県)
◆マンション(大阪府)
耐震診断・改修は努力義務です
昭和56年5月31日以前の確認申請日付の建物は旧基準に準拠しています。
1981(昭和56)年に建築基準法が改正され、6月1日から施行されました。新耐震基準は震度6強~7クラスの大地震でも倒壊しないことを目標としています。本基準による建物は平成7年の阪神淡路大震災、平成23年の東日本大震災において被害は微少でした。
住宅・建築物の地震対策の変遷
年代 | 主な地震 | 住宅・建築物の地震対策 |
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S25 | 建築基準法制定 | |
S34 | 建築基準法を全般に見直し | |
S39 | 新潟地震 | |
S43 | 十勝沖地震 | |
S46 | RC造の基準見直し・強化 | |
S53 | 宮城沖地震 | |
S56 | 新耐震基準 ・震度5程度で損傷しないこと ・震度6~7で倒壊しないこと |
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H7 | 阪神・淡路大震災 | 耐震改修促進法制定 マンション等の耐震診断・改修の補助制度の創設 |
H10 | 戸建住宅等の耐震診断の補助制度の創設 | |
H12 | 住宅性能表示の開始(耐震等級の表示) | |
H14 | 戸建住宅等の耐震改修の補助制度の創設 | |
H16 | 新潟県中越地震 | 住宅金融公庫融資の耐震改修工事に対する金利の優遇開始 |
H17 | 福岡県西方沖地震 | 地域住宅交付金による支援 耐震改修等に関する補助制度の統合・拡充 住宅ローン免税等の築年要件の撤廃に伴う耐震要件の制度化 |
H18 | 耐震改修促進法改正 耐震改修促進税の創設 |
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H19 | 新潟県中越沖地震 能登半島地震 |
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H20 | 岩手・宮城内陸地震 | |
H21 | 岩手県沿岸北部地震 | 耐震改修促進事業とアスベスト対策促進事業の統合・拡充 |
H23 | 東日本大震災 |
形状が不整形な建物は、地震時に損傷が大きくなります。
図面のない建物でも耐震診断は可能です
現地調査によって、図面を復元します。復元した図面があれば耐震診断が可能です。コンクリートの中の鉄筋をレーダー探査によって間隔や径を確認します。
場合によってはコンクリートを斫(はつ)って直接鉄筋を計測したり、鉄骨を計測することもあります。
◆部材実測の様子
・現地調査を行って柱や壁等の部材の実測調査を行います。
◆レーダー探査の様子
◆コンクリートを斫(はつ)って中の鉄筋を直接計測します
◆耐震診断に必要な構造図を復元します
マンション耐震改修事例
PC外付けフレームによる耐震補強(北海道釧路市市営S住宅)
・建物を使いながら施工
・短い工期
・敷地に余裕がある場合
鉄骨コンクリート合成構造による外付け補強(東京都東大和市D住宅)
・建物を使いながら施工
・短い工期
・敷地に余裕が無い場合
外側ブレース耐震補強(神奈川県川崎市A住宅)
・建物を使いながら施工
・短い工期
・補強部材を開口部に配置します。
トグル制震構法(東京都江東区E住宅)
・建物を使いながら施工
・共用廊下側の補強とすることで生活環境を損ないません。